神奈川県内における弥生時代の概観
弥生時代は、日本列島に水田稲作が波及し広まった時代です。また、集落を濠で囲んだ環濠集落や方形周溝墓という墓が新たに採用され、大陸系磨製石器と呼ばれる石器や、鉄斧や銅鐸に代表される金属器、ガラス製品などの使用が始まった時代でもあります。
神奈川県内では弥生時代前期から中期初め頃の遺跡は小規模で、主に山間部や丘陵部で発見されています。弥生時代中期以降になると河川に臨む台地上や河川沿いの低地にも進出するようになり、大規模な集落が形成されることもあります。神奈川県内では未だ弥生時代の水田跡は見つかっていませんが、弥生時代中期後葉頃から本格的な弥生文化が定着するようです。方形周溝墓の導入や大陸系磨製石器の使用などもほぼ同時に始まっていて、やや遅れて鉄器の使用が始まります。青銅製品やガラス製品などは弥生時代後期になって使われるようになります。また近年の調査では低地遺跡の発掘調査事例が増え、木製品や骨角器などの有機質遺物の出土例が多くなりました。台地上の遺跡では腐ってしまって残らなかった生活道具の様子が、徐々に分かるようになってきました。
神奈川県内の主な弥生時代遺跡
環濠集落の分布