中世の墓

やぐら

「やぐら」とは、鎌倉を中心とした周辺地域に広がる、丘陵地の斜面部に方形状に掘り込まれた横穴式の墳墓です。前庭(ぜんてい)・羨道(せんどう)という入口を通り、墓室である玄室(げんしつ)に至りますが、前庭・羨道がなく、直に玄室へ入れるようになっている形態も多く見られます。身分が高い人達の墓として造られていたようで、納骨と供養の機能をもちます。玄室には五輪塔や宝筺印塔を安置したり、壁面に仏像や五輪塔・板碑などのレリーフが彫られている場合もあります。「やぐら」への埋葬形態は、火葬が主流です。火葬骨を納めた蔵骨器や納骨穴が検出されることもあり、分骨と思われる形態も発見されます。

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鎌倉市 山王堂東やぐら群1号やぐら

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三浦市 間口またやぐら群1号やぐら

土坑墓(どこうぼ)

地面を掘り窪めてその中に遺体を埋葬する、縄文時代から続く日本古来の埋葬形態です。中世では主に方形の穴の中に足を折り曲げた状態で土葬する「側臥屈葬(そくがくっそう)」という埋葬がよく見られます。中には副葬品や六道銭が一緒に埋められていることもあります。一体ずつ埋葬する単体埋葬とは別に、鎌倉市の海浜砂丘地では数十~数百人埋葬されている集積埋葬という特殊な事例も発見されています。

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平塚市 坪ノ内遺跡75号土坑

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