古墳時代の墓

古墳時代後期の古墳

 神奈川県内では、古墳時代中期になると古墳の数は竪穴住居址と同様に減少します。古墳時代後期になると再び増加します。この時期には、長柄桜山古墳群のような大形の古墳は造られなくなり、直径が20~30m程の円墳が数多く造られるようになります。特に、相模原市、厚木市、伊勢原市、秦野市などでは、一つの場所にたくさんの円墳が近接して造られる群集墳が数多く見られます。また、小規模な前方後円墳も、円墳に較べると僅かですが造られています。

古墳時代後期の古墳

厚木市 中依知遺跡群1・2号墳

古墳の埋葬施設・横穴式石室

 古墳時代後期のはじめ頃の円墳は、明確な埋葬施設が判るものが少なく、竪穴を掘って直接埋葬したか、木棺などを用いたと推定されます。時期が新しくなるに連れて、横穴式石室を持つ古墳が多くなります。県内の横穴式石室は、写真のように河原石などを積み上げて造るものが多く、大形の切石を使用するものは僅かです。横穴式石室は入口を開閉することで何度も使用出来るため、石室の床面の石を敷き直して、新たな遺体を納めていることもあります。副葬品として、刀や鏃などの武器・武具、耳環やガラス玉などの装身具などがいっしょに納められます。

古墳の埋葬施設・横穴式石室

厚木市 中依知遺跡群1号墳天井石

横穴墓

 神奈川県内には、横穴墓(よこあなぼ)が3,200基築造されたという試算が示されています。県の面積に比してとても多い数字です。横穴墓は台地や段丘の斜面に穴を掘って、玄室(げんしつ)という埋葬施設を造ったもので、古墳時代後期に出現します。写真の高尾(たかお)横穴墓群もそうですが、横穴墓の一部は奈良時代まで継続して利用されていました。

 埋葬は一人から複数人の痕跡が発掘調査で発見され、玄室内には副葬品(ふくそうひん)が納められます。副葬品には坏(つき)などの土器類のほか、刀や鉄鏃(てつぞく)などがあり、そのなかには装飾大刀(たち)などの優れた品も一部でみられます。

 玄室の入口前に広がる場所は墓前域(ぼぜんいき)と呼ばれ、須恵器の大きな甕(かめ)や、長頸壺(ちょうけいこ)などが出土します。玄室内の坏は死者に手向けられ、墓前域の甕などは喪送(そうそう)に際して用いられたことが窺えます。

takayamaouketu

横須賀市 高山横穴墓群

ページ先頭へ